■ エンジニアリングNOTE - Eagle&Olimex

Taizo Kusunoki/DDD&S
Last Update - 2005/12/01

■ はじめに - Eagle&Olimexでボード作成
 この世界では超メジャーなPCBCADであるEagleとPCB製作会社Olimexのコンビネーションで基板を作成してみる。先人たちの情報により、非常に手軽にPCBに挑戦できたことは確かであるが、やはり実際に自分がやってみるとなかなかおっくうになったりツマづいたり気づいたところなんかもあったりするのでそこのところをフィードバックしたいと思う。

■ 参考文献と参考Link
 まずは先人の情報をgoogleで収集する。参考にしたページやお気に入りのページをLink
  1. ぱ研さん:OLIMEX FAN
    →元祖Olimex情報。多くの先人たちがこの情報を参考にOlimexに挑んだ(に違いない)
  2. 趣味の電子回路工作さん:EAGLEによるプリントパターン自動作成
    →もうここのページはEagleの操縦の仕方を教わった教わった(謝謝)。ここのページは印刷してマニュアル代わりにつかわさせてもらってます。
  3. 成松総研さん:PCBエディタ EAGLE Tips集
    →「ファンクションキーのF5でセンタ移動」はここ見るまで気づかなかった、それまで超不便だった。また初期設定ファイルの話も気づかなかった。 eagleは起動直後、scrの指定ディレクトリにeagle.scrの名前のスクリプトを実行する。いろいろなページを参考にOlimex用にカスタマイズしたスクリプトをのっける。
  4. プリント基板CAD EAGLE活用入門
    →トラ技の連載をコピーして何度も読み返した。今は本があるのでトラ技のBackNumberを漁る必要はないだろう。
  5. FREE WINGさん:OLIMEXで基板を作ろう
    →「俺設計基本値」を舐めるように何度も見た。EAGLEの操作を覚えると具体的な設計値が欲しくなる。今回はここを参考に自分的設計値で挑戦した(だめだったら調整していこうと思う)
  6. e電子工房さん
    →実務的な情報を何度も参考にした。備考の「不良品を送ってきたら文句をつけましょう」は非常に納得させられる。
  7. KON's HOMEさん:EAGLE and OLIMEX
    →発注直前に見つけたページ。発注前には何度も読んだ。発注前には心強い情報多数。

    その他お世話になったページ多数(ありがとうごさいます)

 以上のページより、読み取れることは...

  1. Olimexには標準のドリルサイズ、シルク幅があること。
  2. Eagle標準のライブラリは一部Olimexに頼むには不都合がある。
  3. Eagleはスクリプトによっていろいろできる。

 とりあえず自分で発注して作成するのが目的だったので、簡単なものを発注することにし、 ByteBlasterMVを自作してみることにした。

■ 前置き:EAGLEの設定

 参考文献によるとスクリプトファイルeagle.scrは起動時に自動的に読み込まれる。なのであらかじめEagleで使いそうな値をセットしたeagle.scrを作成してみた。今はこの設定で使ってみている。

■ その1:ライブラリの作成

 回路図はByteBlasterMV Parallel Port Download Cable Data Sheet からひっぱって来る。部品はコネクタ2個とチップ1個と抵抗。秋葉原で部品を集めてからフットパターンの資料をネットで調べて一から作成した。まずフットパターンを書き、続いてシンボルを書き、デバイスとしてそれらを登録する。EAGLEによるプリントパターン自動作成を参照しながら作成した。 ちなみにシンボルやパターン上の>NAME(tNames)はU1とかR2とかC3とかの部品番号に、>VALUE(tValues)は10kとか100pとかの抵抗値、コンデンサの値に変換される。

 Olimexで発注するつもりだったので、最初からシルク、ドリルはOlimex標準のものにした。フォントばっかりに気を取られて単純な線を10mil以下にしてしまい、発注時にしっかり5$取られることになってしまった(ダサい)。ライブラリの部品ができたら、一度パターンに配置してDRCにかける。間違いはないと思うが、DRCかけとくと安心できる。またそれを印刷して、フットプリントをチェックしてみる。ハンダ付けできそうだったらよいと思う。


これは次回作のパターン

 仕事で使うのであれば、部品は既存のところからコピー&ペーストするのが、いいと思われる。今回は操作を覚える目的もあったので1個1個ライブラリを自作してみた。

■ その2:回路図の作成

 ライブラリがある程度できたらシンボルをならべて回路図にする。今回はReferenceとなる回路図どおりに入力していく。気をつけるポイントは時々つながって欲しいところがつながっていなかったりすること。 showコマンドで確認する。もし重なっていてしかしつながっていなかったら、NAMEコマンドでネットの名前を変更する。同一の名前を持つNETは回路図上でつながっていなくてもパターン上ではつながっている(いい例はGND)


できあがった回路図

■ その3:レイアウトの作成(アートワーク)

 アートワークは楽しい(昔は苦手で苦しんでいたのだが...)。レイアウトの師匠のお言葉を借りる「ロジックお絵かき」。そんなわけで回路図で接続されている個所はパターン上でもつながっている、引いていないところはunroutedで表示される。明らかにつながっていなければいけないところで、パターンで表示されていないところは回路図のネットをSHOWコマンドでチェックする。いちおう基本は例えば1層は縦に引き2層は横に引く()とか、電源は太く(線幅1mmで大体1Aだそうだ)クロックにわ気を使う。残る場所はGNDで囲む。表と裏にGNDがあったらVIAをたくさん打ってインピーダンスを下げる等、定石は存在するが練習するなり美しい基板で研究するなりエンジニアリング的な鍛錬が必要とされるようだ(筆者も精進して美しいレイアウトが書ける人になりたい)。 仕上がったらe電子工房さんのsetabc.scrで反転防止のテキストを挿入する。


できあがったパターン

 ちなみに今回コネクタ関係のドリル穴はDrill=39,Diameter=59で作成した(結果的に穴サイズはピッタリ、Diameterは微妙にセマい。のでDiameterをもう少し増やした方がいいカモしれない)

■ その4:発注処理(Olimexとのやり取り)

 参考サイトを参考に.BRDファイルとREADME.TXTをZIPで固めてメールで送る。README.TXTは以下のようにした。また住所の書き方はGoogleで調べたりした。一枚の生板から複数の基板を割り当てる「面つけ」の英語訳は"panelize"でした。

1. Name: Taizo Kusunoki
2. Company: D3Services
3. Billing address:  01-2-#345, xxxxxx X-chome,Nerima-ku,Tokyo 179-0000 Japan 
4. Shipping address: 01-2-#345, xxxxxx X-chome,Nerima-ku,Tokyo 179-0000 Japan 
5. Shipping option: airmail
6. Order: DSS 1 pce
7. Notes:
 File name is mvClone.brd,it is no err with 10mils.dru,
 please panelize as many as possible.

email:taizo@digientity.com

 そうするとpdfでPOフォームが簡潔な返事とともに送られてくる。

attached is your po form
Thanks
Olimex
----- Original Message ----- 
From: "Taizo Kusunoki/D3services" 
To: 
Subject: I would like to order PCB
> Dear Sir:
> 
> I 
would like to order PCB, which is
 described in
 
 attached file. > As I order your service at first time, so
 if there is any problems, > please let me knows. > > Thank you
 > > --- >
 
 D3Services >
 
 Taizo
 Kusunoki[taizo@digientity.com]
  Tel: 81+XX-XXXX-XXXX > Web:
   http://www.digientity.com/d3services/ (Japanese only) >

 POフォームを見てシルクが10milに満たない個所があることに気づく。直してもういっかいって大丈夫か?と問い合わせると、ダメ早くPO送れとのつれない返事。つまり(まぁ当然ではあるが)OLIMEXにメールした時点でチェックをお願いしますと注文したも同然な状態になる。中途半端な状態で送りつけたりOlimexにチェックだけしてもらおうとするときっと宜しくないと思う。(以下OLIMEXからのメール)

files re-processing cost $5 as written on our web, so you don't benefit anything from this operation
please send po form as is to speed up your board delivery, next time send board with correct silkscreen
Olimex

 PO(PURCHASE ORDER)に必要なことがらを記入して国際FAXする。名前、住所、電話番号とE-mailを埋める。 "Best time for contact"は空欄のままにした。クレジットカード情報で"Name of the issuer:"っていうところがわからなかったのでカード会社の名前を書いた。

■ 完成、結果とその反省

 Olimexから荷物が届く、こんな感じです。


郵便


基板


基板部品面


基板半田面


実装後

 いちおう簡単な基板なので、うまく動いてそのままFPGAのコンフィグに使っています。パターンの精度は評判通りだと思います。使い方は慣れたので現在第二段を作成中です。(余談ですが、その道うん十年のお世話先の社長に見せるともっと小さく作れないの?とのご指摘。最初だったから、ものすごくルーズにパターンを書いたのでこうなりました、うーーん)


■ P.S.  このレポートは2005/03/27あたりに書かれたのですが、今回写真を手直ししてUPしました。  かかった費用は4枚とれて39ドルでした(安い!!)  ちなみにこのあと、FTDIのUSB-Serial変換チップをのっけた基板を起こしました(未レポート)
添付ファイル: mvClone01.schmvClone01.brd
このNOTEに記載されている情報は、すべての環境での動作を保証するものではありません。
この情報を元にした行為によって、生じた損害はその責を負いません。ただし間違いの指摘やココはこうした方が良い等のご意見は大歓迎です。
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